子どもにスプーン・フォークの練習をさせようと思っているんだけど、どうやってやればいいのかしら?
スプーンやフォークを持ち始める目安は1歳頃。大人が手本を見せたり、優しく手を添えたりして使い方を伝えていきましょう。1歳というのはあくまでも目安です。それよりも早く子どもがスプーンやフォークに興味を持ち始めた場合は、ぜひ使わせてあげてくださいね。
とはいっても、最初は全くできない我が子の姿を見ると「本当に上手くできるようになるのか?」と心配になりますよね。でも大丈夫です!本記事では、
- スプーン・フォークの練習法
- スプーン・フォークに興味を持たせる方法
- 練習におすすめの遊び
- 練習する際の3つのコツ
などをお伝えしていきます。ストレスなく、お子さんと楽しみながら、スプーン・フォークを練習していきましょう!
子どものスプーン・フォーク練習法!3ステップで自然に持てる
スプーン・フォークの練習を始める1歳児は少しずつ自分の思いも出てきて、大人の援助を嫌がったりスプーン・フォークや食べ物を投げてみたり…一筋縄ではいきませんよね。本項ではそんな1歳児が楽しくスプーン・フォークを持つ練習ができる方法をお伝えしていきます!保育士である私が実際に園で行っているやり方です。
子どものスプーン・フォークを練習する方法は、大まかに言うと以下の3ステップになります。
スプーン・フォークの練習法
- 手づかみ食べで、自分で食べ進める
- 食材をのせたスプーン・フォークをお皿に置いてみる
- スプーンですくったり、フォークで刺したりしてみる
手づかみ食べで、自分で食べ進める
子どもがスプーン・フォークを使って食べるには、自分で食べすすめようとする意欲が必要です。「スプーン・フォークの練習じゃないじゃん!」と思うかもしれませんが、これが本当に大切。園でも、0歳のお子さんは、まず手づかみ食べからスタートします。
手づかみ食べで自分で食べ進められるようになれば、それ以降はとてもスムーズに進められますよ!
子どもがなかなかごはんを食べない!という家庭は、「子どもがごはんを食べない!保育士が園で行っている関わり方を紹介」を読んでみてくださいね。全て自分で食べる必要はありません!好きな食材だけでもいいので、まずは手づかみ食べで、自分で食べすすめられるよう促してみましょう♪
汚れたりこぼされたりするのが嫌だから…と、あまり手づかみ食べをさせていない場合は、今からでもぜひ手づかみ食べをさせてあげてください。汚れたり、こぼされたりするのを最小限に抑える方法…それは、
子ども専用の小皿を1つ用意すること!
手づかみ食べ用の食材だけを少量ずつそのお皿に入れることで、被害が最小限ですみますよ♪
上記で紹介したものがおすすめですが、実際保育園では毎回そのようなメニューが出るわけではありまん。ですので、園では汁物以外のものであればなんでも手づかみ食べしています。野菜炒めのようなものや、汁物の具までも!ごはんは小さいおにぎりにしてしまえば手づかみ食べでも食べやすいですね。
実際我が家でも、2人目の子どもになると、そのうちわざわざ手づかみ食べ用のメニューを作るのがおっくうに…。そのため、大人が食べるものと同じものを柔らかく煮込み、味を薄くし、小さめに刻んで食べさせていました。
確かに1つ1つの具材が小さいため、たくさんこぼしますし、子どもの手など様々なところが汚れます。しかし、わざわざ子ども用メニューを作る手間も省けますし、なにより息子の指先が目に見えるように発達していきました!メリットが多いため、ここは頑張らず楽してみるのもありですね♪
食材をのせたスプーン・フォークをお皿に置いてみる
始めから食材をすくったり刺したりするのは難しいです。まずはスプーン・フォークを使って食材を口に運ぶ部分のみ練習していきましょう。
やり方としては、
食材をのせたスプーンやフォークを子どもの皿の上に置いておく!
たったこれだけです。フォークの場合は、食材をフォークにさして置いておきましょう。
自分で食べ進める意欲があり、スプーンやフォークに興味を持ち始めている子であれば、必ずそれを手に取って食べようとします。その際、持ち方がわからなかったり、口に運ぶまで食材が何回も落ちてしまうようであれば、大人が軽く手を添えて援助してあげましょう。
この時期はまだ手づかみ食べと並行してスプーン・フォークを使います。スプーン・フォークで食べやすい食べ物はスプーン・フォークを使用、その他の物は手づかみ食べで食べ進めていくといいですよ。
スプーンを使用する場合はごはんがおすすめ!ごはんをスプーンに押し付けるようにしてのせておけば、口に運ぶまで落ちにくくなります。
フォークの場合は大人が食材をさしておけば、口に運ぶまでの間に落ちる心配はほとんどありません。子どもが上手く口に入れられず何回か失敗したとしても、ポロポロと分解しないような、程よい硬さの食材がおすすめです。
食材を口に入れて、スプーンやフォークだけを口から引き抜く練習にもなりますよ!
スプーンですくったり、フォークで刺したりしてみる
スプーン・フォークをある程度口まで運べるようになったら、次は
食材がのっていないスプーンやフォークを子どもに持たせてみましょう!
自分ですくったり、刺したりしようとする姿が見られれば、大人が軽く手を添えてやり方を教えてあげてください。
最初は当然すくったり刺したりするのは難しいですし、たくさんこぼします。見ていても、「本当にできるのか?」と感じるかもしれませんね。しかし、私が見てきた子どもの中にはある日突然コツをつかんでできるようになった子がたくさんいました。焦らず気長に、こぼしてもいいという大らかな気持ちをもって練習していきましょう!
バナナヨーグルトは、バナナをスプーンですくいやすい大きさに切り分け、ヨーグルトと混ぜ合わせます。ヨーグルトだけでもいいのですが、バナナと混ぜてあるほうがより食材をすくう感覚が理解できますよ。
バナナはヨーグルトと混ぜてあるほうが落ちにくくなるというメリットもあります♪
フォークの場合、最初は刺しただけで抵抗なくスッとフォークが刺さっていくような食材がおすすめです。ゆでたかぼちゃや大根はとても適していますが、柔らかすぎるとフォークを刺したときに崩れてしまい、逆に食べにくくなります。型崩れしない、程よいかたさを目指しましょう!
子どもとスプーン・フォークを練習する際の持ち方を確認しよう!
練習法を確認した後はいざ実践!本項ではスプーン・フォークの持ち方について確認していきましょう。スプーン・フォークの持ち方には、上手持ち、下手持ち、鉛筆持ち(バキューン持ち)の3通りがあります。
スプーン・フォークを持ち始めるような年齢が小さい子どもは、ほとんどの子が上手持ちからスタートしますよ。今後のためにも、上手持ち以降の持ち方や移行のタイミングについてお伝えしていきます。
上手持ち
置いた状態のスプーンを、そのまま上からわしづかみして持ち上げた時の持ち方です。小さい子どもはまだ指先が発達しておらず、力もついていないため、スプーンを握って食べる上手持ちの持ち方になります。食事中にスプーンやフォークをさりげなく置いておいたら、ほとんどの子が自然にこの持ち方で持ち始めるでしょう。
下手持ち
手首をひねって、スプーン・フォークを下から握る持ち方です。上手持ちで食べることに慣れ、上手にすくえるようになってきたら下手持ちで持つように促してみましょう。
無理強いする必要はありません。子どもが嫌がったり疲れてきたりした場合は上手持ちに戻っても大丈夫です。下手持ちで持つ時間を徐々に増やしていきましょう!
「上手になってきたからもう少しお姉ちゃん(お兄ちゃん)の持ち方で持ってみようか?」と促すのがおすすめです♪
鉛筆持ち(バキューン持ち)
下手持ちの次は鉛筆持ちの練習をしていきます。鉛筆持ちとは、その名の通り鉛筆を持つときと同じ持ち方のことをいいます。鉛筆持ちを練習する目安は、下手持ちにも慣れ、指先を使った動きが上手くできるようになっているかがポイントです。
持ち方の手順としては、
- 子どもに手で鉄砲の形を作ってもらう
- 親指と人差し指の間にスプーンorフォークをのせる
- 人差し指を折り曲げてスプーンorフォークを持つ
子どもに教える際には、「バキューンの手(鉄砲の形)してみて」などと言いながら実際に大人がやって見せてあげましょう!
"鉛筆を持つときの持ち方"より、"バキューンの手"と言ったほうが子どももわかりやすいため、「バキューン持ち」とも言います。
今まで担任してきた子どもの中には、最初から上手持ちではなく鉛筆持ちでスプーン・フォークを持ち始めた子もいました。遊びなどを通して指先を使う経験を多くしてこれたという証拠です!その場合はそのまま上手持ちで練習を進めていってもかまいませんよ。
子どもがスプーン・フォークを練習しない!興味を持ってもらうには?
子どもがスプーン・フォークの練習をしようとしないんだけど…。どうすれば興味を持ってくれる?
スプーン・フォークを練習させようとしても、子どもがスプーン・フォークに興味を持たないこともあります。そのような場合は、以下を実践してみてください。
スプーン・フォークに興味を持ってもらう方法
- 家族が使っているところを見せる
- ままごとで使用してみる
- お皿やスプーン・フォークを見直してみる
家族が使っているところを見せる
子どもが物に興味を持つようになる理由…。それは、
大好きなパパやママが使っているから!
子どもは大人がやっていることをなんでも真似したがります。ケータイを触りたがる姿を例に挙げれば1番わかりやすいかもしれませんね。ですので、スプーン・フォークに興味を持ってもらいたいのであれば、大人や兄弟がそれを使って食べている姿を見せてあげましょう。
使い方も見よう見まねで覚えていきますよ!
ままごとで使用してみる
家にままごとコーナーがあれば、そこにスプーンを置いてみましょう。その場合はスプーンを口にくわえたまま歩いたりしていないかだけ注意してください。転んだ拍子にスプーンで喉をついてしまう危険性があります。
大人が一緒にままごと遊びをし、その際にスプーンを使えば、子どもも真似して遊びたくなること間違いなしです!その際は「おいしいね~!スプーン上手に持てるね~!」と笑顔で声を掛けてあげましょう♪
お皿やスプーン・フォークを見直してみる
始めはスプーン・フォークの練習をしたけれど、そのうち興味をなくしてしまったという場合もありますよね。上手く食べられず、お子さんが疲れてしまったのかもしれません。少しでも使いやすいお皿やスプーン・フォークを用意してみましょう。
スプーン・フォークについては、それぞれの家庭や子どもの姿によって合うものが異なります。持ち手、柄、先端の形がポイントとなってくるので、子どもの姿をよく見て合うものを選びましょう。
子どもがどの部分でつまずいているのか、どうすれば食べやすくなりそうかを探ってみましょう!
子どものスプーン・フォークの練習は遊びを通して行おう!
スプーン・フォークを練習する際は、遊びを通して楽しく行うのが1番!おすすめの遊びは以下の3つです。
練習におすすめの遊び
- 金魚すくい
- 砂遊び
- ボンボンうつし
ここで紹介する3つの遊びは、スプーンでものをすくって運ぶ動きを練習するための遊びです。生まれてまだ1年程度しかたっていない子ども…。当たり前ですが、できない、わからないことだらけです。
例えば、すくう動きを経験したことがない子どもが、初めて金魚すくいで遊んだとき、どのような行動をすると思いますか?"すくおうとして、上手くすくえない"は不正解。その子にもよりますが、実際は"ポイを金魚に押し当てる"。これが正解です。
経験がない子どもは、"上手くすくえない"のではなく、"すくうという行為自体がわからない"のです!
たくさん遊びを経験することで、金魚をすくうには、まずポイを金魚の下に持ってこなくてはならないのだと理解していきます。他にも、すくったものを運ぶにはポイを水平に保つ必要があること、他の入れ物に入れるにはそれをひっくり返さなければいけないことなど、様々なことを学んでいきますよ。
それぞれの遊びについて簡単に紹介していきますので、ぜひ実践してみてくださいね!
金魚すくい
夏のプール遊びや、毎日のお風呂タイムに!メッシュタイプのやぶれないポイと、おもちゃの金魚やスーパーボールなどを使って金魚すくいを楽しみましょう♪
ポイですくうのが難しい場合は、以下のようなスコップを使うのもおすすめです。
金魚やポイは手作りもできるので、余裕のある方は子どもと一緒に作ってみてもいいかもしれませんね!
砂遊び
スコップで砂をすくったり、それをバケツに入れたりなどの、砂遊びの動きもスプーン・フォークの練習になります。砂をすくう際は、砂場にスコップを差し入れたり、すくったものを持ち上げたりする必要があります。その動きにより、手の力も付き一石二鳥ですよ♪
ボンボンうつし
100均で販売されているボンボンをスプーンですくい、別の入れ物にうつす遊びです。私は容器の穴を動物の口にして、"動物に食べさせてあげる"感覚で遊べるようにしていました。
これは箸を練習する際にも使えるので、作っておいて損はないかもしれませんね♪作る時間がない場合は、普通にボンボンを違う入れ物にうつして遊ぶだけでも十分ですよ!
子どもとスプーン・フォークの練習をする時のコツ
子どもと楽しくスプーン・フォークを練習していくには、3つのコツがあります。
スプーン・フォークを練習する際のコツ
- 焦らず気長に練習する
- 汚れてもいい環境や心構えを整える
- たくさん褒める
焦らず気長に練習する
周りの子ができるようになっているからといって焦る必要はありません。最初から食事中ずっとスプーン・フォークを持たせるのも逆効果。毎日少しずつ、気長に練習していくのが1番です。
私の娘も息子も、ある日急激にスプーン・フォークを使って食べるのが上手くなった時期がありました!
できないと思っていても、上手く使えるようになる時期がやってきます!それを気長に待ちましょう。
また、「何をしてもい全然…。」という場合は、一度スプーン・フォークの使用をやめ、期間をあけて再度挑戦してみるのも手です。その間に遊びを通して指先の発達がすすみ、意外とできるようになっていた!という子もいましたよ。
汚れてもいい環境や心構えを整える
上手くスプーン・フォークを使えるようになるには、やはり経験が大切です。子どもに食べようという意欲があるのなら、全て子どもに任せてみるのも手。
しかし、全て子どもに任せると机や椅子、床が汚れて大変なことになりますよね。ですので、汚れを少しでも削減できるような環境を整えましょう。子どもの食べこぼし対策については、以下の記事で紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。→準備中
対策をしても完全というわけではなく、やはり汚れます。汚れてもいいや!という諦めの気持ち、寛容な心を持つことも大切ですよ。
私は、2人目の息子の練習では、汚れ対策をしたのは初期だけ。あとは掃除に徹しました!
もうどれだけ汚されてもいいや!という諦めの気持ちが頂点に達したのだと思います(笑)
食べ進めている間に、子どもに食べようという意欲がなくなり遊びに移行したときはスプーン・フォークの使用をやめ、食べさせてあげたり手づかみ食べさせたりしてあげましょう。
たくさん褒める
なにより褒めて褒めて褒めまくることが大切です!「スプーンですくえたね!」「上手にチックンできたね!」とたくさん褒めてあげましょう。
最初はなかなか上手くできず、子どももこぼしたり、お皿をひっくり返したりするかもしれません。そんな中でも、できないことではなく、まずできることに目を向けてたくさん褒めてあげてくださいね!
保育園では子どもが1つでもできたことがあると、「○○ちゃん、上手にスプーンですくえたよ!」と他の職員やお友だちにも伝え、みんなで盛大に褒めます(笑)
それから張り切ってスプーンで食べる姿が…!その姿が本当に可愛らしいです♪
褒めることで大人も楽しく練習を進めていけますよ♪ぜひお子さんと一緒に楽しくスプーン・フォークの練習をしていってください!
子どもと一緒に楽しくスプーン・フォークを練習しよう!
本記事では子どもと一緒に楽しくスプーン・フォークを練習していく方法をお伝えしました。やはり、焦らず気長に練習していくのが1番です!子どもがもし食べる意欲があまりなかったとしても、自分で食べようとする食材が少しでもあるのなら、その食材で少しずつ練習していけばいいですよ。
子どもの発達は、身体の中心からスタートし、徐々に指先など、末端の方向へ進んでいきます。ですので、スプーン・フォークを上手に持つには、たくさん身体を動かし、様々な動きをしながら身体を発達させていく必要があるのです。やはりまずはたくさん遊ぶ!ということが大切なのですね。
お子さんと一緒にたくさん様々な遊びをしながら、身体、そして指先へと発達を促していきましょう!