うちの子、苦手な食材をわざと床に落としたり、ごはん粒を残したり…。もっと食に感謝の気持ちを持ってほしいわ…!
子どもが食べ物を粗末に扱うような姿が見られる…。そのような場合は、私たちが普段食べているものは"命あるもの"であるということを伝えてみましょう。
しかし、ただ話をしただけで子どもがそのことを実感できるかといえば、なかなか難しいです。
そこでおすすめするのが、絵本を通して伝える方法です!
この記事では、
- "食べることは命をいただくこと"だと子どもに伝えるおすすめ絵本
- おすすめ絵本を読んだ際の子どもの反応
- 食への感謝の気持ちを育むのに絵本がおすすめな理由
などをお伝えしていきます。
絵本を通してあなた自身も子どもと一緒に食について考え、子どもの食べ残しゼロを目指しましょう!
食への感謝の気持ちを育むおすすめ絵本とその反応
本項では、食への感謝の気持ちを育む絵本を3冊お伝えします。
保育士である私が実際に園や家庭で読み聞かせたものばかりです。
食への感謝の気持ちを育むには、
- 食材を生産してくれている人への感謝
- 食べることに困らず、毎日食べられることへの感謝
- 食べられる動物や植物への感謝
などのように、様々な視点からのアプローチ方法があります。
本記事では、3つ目の「食べられる動物や植物への感謝」の視点に特化した絵本を紹介していきます。
また、「子どもに食べ物のありがたみを伝えよう!家庭でできることとは?」では、それぞれの視点からのアプローチ方法を紹介しているので、ぜひ確認してみてください。
【中央公論新社】もうじきたべられるぼく
TikTokの読み聞かせ動画で300万回再生されたお話が、書籍化されたものです!
基本情報
作:はせがわゆうじ
出版社:中央公論新社
対象年齢(私見):5歳~大人(小学生になったらぜひ読んであげてほしい!)
あらすじ:もうじき食べられるぼく(牛)が、最後にお母さんに会いに行くお話
【感想】"命をいただく"先にある、食べられるものの想い
普段私たちが食べている牛も、もともとは命あるもので、幸せに暮らす未来があったかもしれない存在なんだよな…と改めて感じさせられる絵本。
実際牛に、「お母さんに会いたい」、「子どもに幸せになってほしい」などのような感情があるかは分かりません。しかし、"命をいただく"とはこういうことなんだと改めて気づかされました。
子を持つ親が読むと、特に心に沁みると思います…。
可愛らしいタッチの絵で描かれており、もともとは子ども向けの絵本なのかもしれません。しかし、ぜひ大人も一緒に読んで、食への感謝の気持ちを子どもと共有してもらいたい、と思う絵本でした。
【子どもの姿】ぼく(牛)の擬人化で子どもにも伝わりやすい
5歳である娘に読み聞かせたときは、号泣…。園で年長児に読みきかせた際も、みんなふざける様子もなく真剣に聞いていました。
命が奪われる=大好きなママや家族と会えなくなる
このことが深く子どもたちに響いたようです。牛が擬人化されているため、子ども達もより身近に"大切な命をいただいている"ということを、感じられたのではないかと思います。
読み終わった後は、「ちゃんと「いただきます」って言う!」という言葉も多く聞かれました。
【佼成出版社】しんでくれた
谷川俊太郎さんが作った詩が絵本になったものです!
基本情報
作: 谷川 俊太郎
絵:塚本 やすし
出版社:佼成出版社
対象年齢(私見):5歳~大人(小学生になったらぜひ読んであげてほしい!)
あらすじ:心にとどく言葉と、力強い絵で"命をいただく"ことの意味を伝えてくれる
【感想】私たち生き物は生き物のおかげで生きていける
タイトルにドキッとさせられました
「しんでくれた」というタイトルに違和感を抱く読者もいるようですね。詩をもとにしているため、淡々と進んでいく印象です。しかし、
私たち生き物は、他の生き物を食べないと生きていけない。
そのものたちのおかげで生きていけるのだ。
という、とても大切なことを伝えてくれる絵本だと思いました。
【子どもの姿】自分の命が大切なものであることに気付く
子どもにとっても、やはりタイトルが衝撃的だったようです。
私はいつも図書館から10冊ずつ本を借りてきます。娘は、その複数の絵本の中から、「この本なに…?」と真っ先に手に取っていました。
話が淡々と進んでいくため、娘も淡々と聞いていました。しかし、「ぼくはしんでやれない」という言葉に「どうして?」と質問。それ以降は自分のこととして置き換えながら聞いていた印象でした。
命は大切。しかし、その命は他の生き物たちによって支えられているんだということを、少なからず感じてくれたのではないかと思います。
【講談社】いのちをいただく みいちゃんがお肉になる日
食肉センターに勤めておられる、坂本義喜さんのエピソードをもとに書かれたお話です!
基本情報
原案:坂本 義喜
作:内田 美智子
絵:魚戸おさむとゆかいななかまたち
出版社:講談社
対象年齢(私見):小学生~大人(先に紹介した2冊より対象年齢高め)
あらすじ:食肉解体の仕事をしている坂本さんが、ある日、職場で見たものとは…?
【感想】食べ物に携わってくれた様々な人々の想いに触れられた
私たちが普段食べている食べ物の背景には、それに携わってくれた様々な人々の想いがあることに改めて気づかされました。また、この絵本を読むまでは、食べられる牛にも"嫌だ"という感情があるということを考えたことがありませんでした。
恥ずかしながら、そこまで考えが至っていませんでした。
牛を育てる人達の心、牛の命を解く(殺す)ことを仕事としている人の心、そして牛。様々な視点から描かれていて、改めて食への感謝の気持ちが高まったお話でした。
【子どもの姿】奪われた命について考え、大切にする
園で読み聞かせたことはありませんが、5歳の娘に読み聞かせた際は、大号泣でした。"命をいただく"ということは、奪われた命があるということを1番強く感じたのではないかと思います。
お話には、食べられる牛と一緒に兄弟のように成長してきた女の子が出てきます。そのため、「(弟の名)は牛にならない?食べられない?」と泣きながら心配していました。
その後、普通にお肉は食べていましたが、1歳の弟が食べ物を床に落としたときに、「大事に食べないとかわいそうだよ」と伝えている姿がありました。
【食への感謝】命をいただいていることを伝えて行動が変わる!
"命をいただいている"ことを伝える必要性
"命をいただいている"なんて伝えたら、逆に食べにくくなっちゃわない?
確かに、子ども達の中には「かわいそう」という思いが出てきます。
何も伝えなくても、食べ物を大事に思って扱える子どもであれば、伝える必要がないのかもしれません。しかし、"命をいただいている"ということを知っている子と、知らない子とでは、やはり食べ物の扱い方が違うなと、感じます。
伝えたとしても、毎回毎回食べる際に"これは命をいただいているんだ"と思って食べる子はいません。それは、大人であるあなたについても言えることではないですか?
毎回食事の際にそのように思って食べることが必要、というわけではないのです。ただ、食べ物をぞんざいに扱ってしまいそうになった時、ふと思い出して、行動を改める。このような姿こそが、食への感謝の気持ちだと思うのです。
子どもが大きく成長したときに、当たり前のように食事を残したり、食材を多く買いすぎて消費できず捨ててしまったり…。このような行動はできる限り減らしたいですよね。
"命をいただいている"ことを伝え、食への感謝の気持ちを育みましょう!
"命をいただいている"絵本を通して伝えることのメリット
食への感謝の気持ちを育むためには、子どもと一緒に料理をしたり、家庭栽培をしたりして、実際に体験していくといいでしょう。
やりたいけど、実際そんな余裕はありません…。
そのような方には、絵本を通して伝えることをおすすめします。絵本を通して伝えるメリットはこちらです。
絵本を通して伝えるメリット
- あまり時間をかけることなく伝えられる
- 絵が描いてあるため子どもがイメージしやすい
- 集中して話が聞け、内容も頭に残りやすい
- 普段体験できないことを疑似体験できる
- 親子で読むことで一緒に食について学べる
命に関することを伝えるのに、手軽さを求めていいのか!?とも思いますが、何も伝えないよりは何倍もいいはずです。
命のことを伝えるとなると、どう伝えたら?と悩んだり、伝えても「ふ~ん」で終わってしまったりしませんか?絵本には作者の伝えたい思いがいっぱい詰まっているので、子どもの心にも伝わりやすいです。
また、"命をいただいている"ことを実感できるような体験をすることは、実際のところ難しいですよね。絵本であれば、実際に体験できないようなことでも疑似体験できます。疑似であっても体験できれば、ただ伝えるよりも"自分事"として捉えられますよ。
ぜひお子さんと一緒におすすめ絵本を読んでみてください!
【注意】絵本を読むだけではだめ!親は普段の行動で示して
食への感謝の気持ちを絵本を通して伝える際に、してはいけないこと…。それは、
絵本を読みっぱなしで終わらせること
絵本を読み終えた後にすぐ親子で話し合って!という意味ではありません。読み終えた直後に内容を補足したり、話し合ったりするかしないかは自由です。
絵本の内容や、読んだ後のお子さんの姿によって判断するといいですよ!
ここで言っていることは、あなたが食べ物を大切に扱っている姿を実際に子どもに見せましょう!ということです。
- 毎食「いただきます」「ごちそうさま」を言う
- 買ったもの、いただいたものは無駄にしない
- もし消費しきれなくても誰かにあげてダメにしない
- 食材で食べられるところは余すところなく使用する
「なんだ、そんなこと!?当たり前じゃない!」と思うかもしれません。しかし、その当たり前のことを子どもに見せていくことで、子どもにとっても、それが当たり前になっていくのです。
自分の行動を見直してみると、食べ物を無駄にしている部分もあるかも!これを機に見直してみましょう♪
まとめ
普段、私たちが食べることで命をいただいている。そのことを伝えるための絵本を3冊紹介しました。
- 【中央公論新社】もうじきたべられるぼく
- 【佼成出版社】しんでくれた
- 【講談社】いのちをいただく みいちゃんがお肉になる日
大人となった私は、食への感謝の気持ちはすでに持ち合わせていると思っていました。しかし、今回紹介した3冊の絵本を読んで、まだまだ学ぶべきことはたくさんあるのだということに気付かされました。
ぜひ、あなたもお子さんと一緒に絵本を読んでみてください。子どもだけでなく大人であるあなた自身も、食への感謝の気持ちを育みましょう!